高尾山の修行体験記 紅ちゃんとゆにちゃんとラリマーちゃん①

小龍ちゃんの話

高尾山到着間際
ラリマーちゃん視点
ラリマーちゃんは高尾山に到着して周囲をキョロキョロと見まわしました。
興味深々で新しいお笑いの種を探しています。
見ると前方に両手を握って胸において不安そうにしながらも期待で
目をキラキラさせている子がいます。
(あーこの子が僕の修行仲間かぁ。じゃあ僕の目標はこの子を笑わせる事だね!)
修行が目標のはずが何故か笑わせるのが目標に変わってしまっています。
早速近づいてその子に声をかけました。
「やぁ、君が僕の修行仲間の子だよねっ。僕ラリマーちゃんだよっ。
よろしくねっ!」
自分にちゃん付けしてみました。
ちゃんを付けた方が親しみが出るかな?と考えたからです。
お笑いを入れたいのですがまずは相手の反応を確かめて
相手を和ませてからがいいと 思っています。
相手の子は親しみのあるラリマーちゃんにほっとした表情になりました。
「僕は紅ちゃんなのっ!よろしくねっ」 そう言ってニコ~っと可愛く笑いました。
笑うと女の子のようです。 ラリマーちゃんは一発で紅ちゃんが気に入りました。
(うんっ。今回の修行は楽しく過ごせそうだっ。
紅ちゃんをどう笑わせるか これから楽しみだなっ!)
ラリマーちゃんもにっこりと笑いながらそんな事を考えてわくわくしています。

紅ちゃん視点
紅ちゃんは不安げに高尾山の上で見知らぬ景色を眺めながら緊張していました。
(これから僕は邪気払いのお勉強をするんだ!何があるんだろう?
一緒にお勉強する 子とは仲良く出来るかな~)
胸がドキドキするので胸元で手を重ねて握り締めてドキドキを 抑えようとしました。
でも新たな事をするのでとても楽しみでもありました。
(僕が習ったお勉強をお母さんやお兄ちゃん達に見せて驚いて貰うんだっ!
僕もお家のお役に 立てるようになって、お兄ちゃん達と一緒に悪い物を退治するんだっ)
紅ちゃんの頭には邪気をやっつけてお兄ちゃん達に
「すごいねっ、紅ちゃんこれから一緒に悪い物をやっつけようねっ」とか、
お母さんに「とっても頼りになるわ。これからもお家を守ってねっ!」と
頼られている自分を想像して目がキラキラしてきました。
不安と期待でドキドキしていると急に声をかけられました。
「やぁ、君が僕の修行仲間の子だよねっ。僕ラリマーちゃんだよっ。よろしくねっ!」
自分にちゃん付けをしています。
紅ちゃんは相手を見ながら心の中で
(ふふっ。まだ小さいんだねっ。ちゃん付けするなんて可愛いなぁ)と
少し下の子を見る気持ちでラリマーちゃんを見つめました。
そんな小さい子相手(紅ちゃんの中では完全の年下認定です。
今まで年上のお兄ちゃんばかりに囲まれていたので、
お兄ちゃんになれる事がすっかりうれしくなっています)に
緊張がほぐれてほっとしながら「僕は紅ちゃんなのっ!よろしくねっ」と
年上のつもりでラリマーちゃんに合わせてあげる事にしました。
(これから年長としてラリマーちゃんの面倒を見てあげなきゃなっ)と
心の中で思いながら 相手を和ませようとニコ~っと可愛く笑いました。

二人視点
そんな会話をしていると目の前にこれからお勉強を教えて下さる背中に
カラスの羽の生えた山伏姿の天狗さんが仁王立ちで立っていました。


手に鳥の羽のついたふさふさとした扇子を持ち、足は下駄です。
仁王立ちで立っている姿はとても威厳があってラリマーちゃんも紅ちゃんも
ちょっと怖くなりました。 つい二人してぴとっと抱き合ってしまいました。
カラス天狗の先生は威厳のある深みのある声で
「やぁ。来たね。君たちをこれから三日間僕が主に担当する事になる・・・だ。
僕も久々で とても楽しみにしていたんだ。分からない事があったらなんでも聞いて欲しい。
これから共に精進していこうっ!」(天狗先生の名前は分かりませんでした)

とても張り切っている様子で話すその声は山のかなたまで届くような深いはりがありました。
威厳がありながらも威圧的では無く親しみがある優しい口調で話す天狗先生に小龍ちゃん二人は尊敬の念を感じました。
(これからは天狗先生が僕たちの担当になるのかぁ)
天狗先生をすっかり気に入った 二人は嬉しくなりました。
「さぁ、これから君たちに泊まる場所や修行場所の説明をするからついて来なさい」
そう言って 前を歩きだした天狗先生に二人はにこっと笑い頷きあうと小走りで急いでついて行きました。

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