ゆにちゃんと紅ちゃん初めての管狐(いずな)体験
ラリマーちゃんと紅ちゃんは2日目に本格的な修行を始めますが
一日目は天狗先生に食堂や教室、眠る場所
(畳のお部屋でお布団がある和室)などを 案内してもらった後に
修行中、自分の相棒となる管狐(いずな)さんを渡されました。
場所は屋外の柵に囲まれた運動場のような所です。
柵は先生の腰位の高さですので小龍ちゃん達には頭の上位高い感じです。
広いその練習場は管狐さんとの連携を勉強する為に使われます。
もう少し大きい人たちにとっては剣や棒術の練習場にもなっています。
(屋内にも同じように練習できる場所はあります)
本格的なお勉強は明日なので一日目は管狐さんと慣れる事です。
ラリマーちゃんはあっと言う間に管狐さんと仲良しになりました。
管狐さんはラリマーちゃんの 思い通りに色んな所に移動してくれます。
ラリマーちゃんがさっと指さした方向にタタタッと駆けて行き、
手で自分の方に戻るように軽く合図するだけですぐに戻ってきてくれます。
ラリマーちゃんは楽しくて笑いながら管狐さんとの交流を楽しみました。
逆に紅ちゃんは苦戦していました。
管狐さんは紅ちゃんをからかって頭の上から降りて来ません。
紅ちゃんが「降りて~、降りて~」と 両手で頭の上の管狐さんを
取ろうとしますがさっとよけて肩に乗り、
紅ちゃんが肩から 管狐さんを取ろうとするとまたさっと頭に移ってしまいます。
紅ちゃんの思う通りに動かないので紅ちゃんは困ってしまいました。
顔をしかめて管狐さんがあんまり意地悪なんで
(管狐さんは何でからかうの?・・僕の事嫌いなの?)と悲しくなってきました。
天狗先生はそんな二人を修行所の周囲を囲んだ柵に軽く腰かけて腕を組んで見ていました。
初日なのでお互いの管狐と親しくなる為に渡しただけで細かい使い方を教えませんでした。
それでもさっさとコツをつかみ使役出来ているラリマーと
逆にまったくうまくできず 親しくなれない紅。
天狗先生は様子を見ながらこれからの教育方針を考えていました。
二日目修行の始まり
翌日は朝から教室で講義です。
人間の教室に少しだけ似ていますが 寺子屋にも似ています。
机と椅子がありますので教室と寺子屋を合わせたような感じです。
先生と向かい合って椅子に座って机の上に手を置いて先生のお話を聞いています。
先生が前に座っていて話ながらその内容を指で文字を書いています。
先生が指を動かすとラリマーちゃんと紅ちゃんの中間の顔の上くらい、
良く見える場所の空間に文字が浮かびます。
その文字は金色に光っており、草書体のように見える文字が切れ目なく続いています。
空間の中で光る文字はラリマーちゃん達にもとても分かりやすく見えます。
その文字はラリマーちゃんと紅ちゃんがその内容を理解すると消えるようになっています。
ですから消えない間は理解出来ていない事になります。
その文字は龍の言葉と一緒で龍なら誰でも簡単に読める物です。
同じ文字で書かれた教科書もあります。
ラリマーちゃんと紅ちゃんの机にはその教科書が 広げられています。
ラリマーちゃんが急に椅子から立って机に手を置いて先生に訴えました。
「天狗先生っ。僕このお話では面白くありませんっ。
もっと面白くお勉強を楽しみたいですっ」
集中してお勉強していた紅ちゃんは意外な事を言い出したラリマーちゃんに
ぎょっとしました。
(ラリマーちゃんたら、いくら小さいからってお勉強がつまらないなんて
天狗先生に失礼だよっ)
そう紅ちゃんはハラハラしてラリマーちゃんと先生を見比べました。
ラリマーちゃんは授業内容が納得いかないらしく更に不満を続けました。
「昨日の先生のお話はとても面白くて引き込まれました。
天狗先生ならこのお勉強をもっと 楽しく身に着くものに出来るはずですっ。
僕は面白い先生の授業でお勉強したいですっ」
天狗先生は面と向かって「お勉強がつまらない」と言われ(ほぉ・・)と
意外な視点での指摘に 面白そうな顔になりました。
天狗先生はなんでも柔軟に考えて悪い部分を直そうと常に上を目指していますので
自分の悪い所を直して生徒にさらに精進させるには
ラリマーの 意見を取り入れるのもいいかも知れないと てのひらに
あごを置き口までを指先で覆いながらその意見を真剣に難しい顔になり考えています。
難しい顔で考え出した様子の天狗先生に紅ちゃんはとっても心配そうな顔をしています。
(どうしよう・・・天狗先生が怒っているんじゃないかな?・・・
ラリマーちゃん・・ 大丈夫かな・・・)
そう思いながらそうっとラリマーちゃんの様子を伺いました。
ラリマーちゃんは先生はお話の師匠だと思っていますので(絶対に分かってくれる!)
そう確信しています。なので言った事にとても自信がありました。
先生のお返事はきっといい物だと思いながらキラキラ輝く目で
どんな素敵な お勉強にしてくれるかわくわくしています。
紅ちゃんはキラキラした目になっている
ラリマーちゃんに
(ああっラリマーちゃんたらっ! 少しは反省してくれたらいいのにっ。
どうしよう?)と頭を抱えました。
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